薬物性パーキンソン症候群とは?

薬の副作用でパーキンソン病のような症状がでることが

薬物性パーキンソン症候群とは?
──どんな薬で起こり、どう対処するのか

「パーキンソン病と診断されていないのに、動きが遅くなった」「歩きが小刻みになってきた」
そんなときに注意すべきもののひとつが、薬物性パーキンソン症候群(Drug-induced Parkinsonism:DIP) です。

これは薬の副作用で、パーキンソン病とそっくりの症状が出る状態をいいます。
しかし「本当のパーキンソン病」とは原因が異なり、薬を中止すれば改善する可能性が高いのが特徴です。


目次

薬物性パーキンソン症候群とは?

脳の黒質の神経細胞が減少する「本物のパーキンソン病」と違い、
薬がドパミンの働きを邪魔することで似た症状が出る 状態です。

■ 主な症状(本物によく似ている)

  • 動作が遅くなる(動作緩慢)
  • 筋肉のこわばり(固縮)
  • すくみ足・小刻み歩行
  • 前傾姿勢
  • 表情の乏化(マスク様顔貌)
  • 手足の震え(※出ないことも多い)

特に「左右差が出にくい」ことが本物のパーキンソン病との違いです。


どんな薬で起こるのか?(原因薬の分類)

薬物性パーキンソン症候群の原因の約70〜80%は、
ドパミン受容体をブロックする薬(D2遮断薬)です。

① 向精神薬(抗精神病薬)──もっとも多い原因

  • ハロペリドール(セレネース)
  • クロルプロマジン(コントミン)
  • スルピリド(ドグマチール)※頻度が非常に高い
  • リスペリドン(リスパダール)
  • オランザピン(ジプレキサ)
  • アリピプラゾール(エビリファイ)

特にスルピリド(ドグマチール)は「胃薬」として処方されることがあり、
本人に精神薬を飲んでいる自覚がないまま発症するケースが多い
ため注意が必要です。

② 制吐薬(吐き気止め)──実はとても多い原因

  • メトクロプラミド(プリンペラン)
  • ドンペリドン(ナウゼリン)

特にメトクロプラミドはドパミン遮断作用が強く、高齢者での発症例が多い薬です。

③ 胃薬の一部

  • スルピリド(ドグマチール)※胃薬としても処方される

「胃の不調で飲み始めた薬が原因だった」という例が非常に多い領域です。

④ カルシウム拮抗薬(一部の血圧薬)

  • シンナリジン
  • フルナリジン

日本では頻度は少ないですが、海外では多く報告されています。

⑤ 抗けいれん薬・気分安定薬

  • バルプロ酸(デパケン)

高齢者や長期服用でパーキンソン症候群を引き起こすことがあります。

⑥ その他(まれだが報告あり)

  • 一部の降圧薬
  • 一部の不整脈薬
  • 一部抗うつ薬(SSRIで悪化例あり、原因としては稀)

薬物性パーキンソンと本物の違い

■ 1)左右差が少ない

本物は「右だけ」「左だけ」が多いが、薬物性は左右差が出にくい。

■ 2)震え(振戦)が少ない

薬物性は固縮・動作緩慢が主になることが多い。

■ 3)薬をやめると改善することが多い

ただし改善まで数週間〜数か月かかることも。

■ 4)高齢者は起こりやすく治りにくい

薬の代謝力が落ちるため、副作用が出やすく回復もゆっくり。


ニュートラルゾーンセラピーは役立つのか?

結論として、薬物性パーキンソン症候群にも過緊張の緩和は十分に期待できます。

■ ① 過緊張(固縮)を鎮める

薬による「ドパミン遮断 → 全身緊張」の状態では、力が抜けにくくなります。
微弱圧・脱力誘導はまさにここにマッチします。

■ ② 自律神経の乱れを整える

胸郭・横隔膜が固くなり呼吸が浅くなるため、不安・息苦しさが増します。
呼吸の再学習は症状の緩和に直結します。

■ ③ 薬の中止後の回復期に特に良い

薬の影響が抜ける過程で、
身体の使い方が整うことで回復がスムーズになるケースがあります。


まとめ

薬物性パーキンソン症候群は、
薬の副作用によってパーキンソン病に似た症状が起きる状態です。
原因薬は抗精神病薬・制吐薬・スルピリドなどが中心です。

薬を中止すれば改善することが多いものの、時間がかかる場合もあります。
その過程で、身体の過緊張をほどき呼吸を整え、動作の軽さを取り戻すニュートラルゾーンセラピーは補助として有効です。

「力む・踏ん張る → 動けない」を抜け出し、
自然体で動ける身体へ戻るサポートが可能です。

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